すべては漂っている

本や日々のことについて書きます

2023-01-01から1年間の記事一覧

今年よかった本2023

2023年も終わりに近づいているので、今年読んだ本で印象に残っているものを振り返ってみる。 日本文学 『口訳 古事記』町田康(講談社・2023) 口訳 古事記 著者 : 町田康 講談社 発売日 : 2023-04-26 ブクログでレビューを見る» 今年中に読み終わりたかった…

小説家と作品は表裏一体か『うるさいこの音の全部』感想

うるさいこの音の全部 著者 : 高瀬隼子 文藝春秋 発売日 : 2023-10-10 ブクログでレビューを見る» ここ最近大好きな作家さんである高瀬隼子さんの最新作『うるさいこの音の全部』(文藝春秋・2023)を読んだ。 主人公はゲームセンターで働きつつ小説を書いて…

歴史とは無数の断片の堆積物である 『歴史の屑拾い』感想

歴史の屑拾い 『歴史の屑拾い』(藤原辰史・講談社・2022) 発売当初からずっと読みたかった藤原辰史『歴史の屑拾い』を読んだ。 藤原さんのことは『中学生から知りたいウクライナのこと』(小山哲 藤原辰史・ミシマ社・2022)で知った。これが良書だったの…

家族はしがらむものである『統合失調症の一族』感想

統合失調症の一族: 遺伝か、環境か 『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』 ロバート・コルカー (著),柴田 裕之 (訳)早川書房(2022) 以前から気になっていた本をついに読む機会を得たので読んでみた。 以下感想と言えるほどまとまっていない雑感。 商品…

あなたもきっと忘れていたことを思い出す『まぬけなこよみ』感想

私の最も好きな作家さんである津村記久子さんの歳時記エッセイ『まぬけなこよみ』(平凡社・2017年)が文庫になったので、単行本も持っているけどこちらも早速買って読んだ。(※挿絵のイラストレーターさんが単行本と文庫で違うのでどちらもオススメ) まぬ…

自分の驕りに気付いた『限界ニュータウン』感想

自分は生まれ育った首都圏から、必要に迫られて地方都市に移住した人間なのだが、未だに首都圏への未練のようなものを捨てられていないことを自覚している。 そのため地方経済や都市との比較などがなんとなく自分の中の考え事のメインテーマのひとつになりつ…

受験生はボトラーだったらしい『科挙―中国の試験地獄』感想

科挙―中国の試験地獄 (中公文庫BIBLIO) 著者 : 宮崎市定 中央公論新社 発売日 : 2003-02-25 ブクログでレビューを見る» 『科挙―中国の試験地獄』宮崎市定(中公文庫BIBLIO) かれこれ5年以上読みたいと思っていて、ようやく手に取った。 新書の方もあるが、…

2022よかった本

2022年に読んだ本70冊くらいの中で、未だに強く印象に残っているもの、特に読んでよかったと思うもの3つです。 「その他の外国文学」の翻訳者 著者 : 白水社 発売日 : 2022-02-19 ブクログでレビューを見る» 『「その他の外国文学」の翻訳者』白水社編集部 …